『追跡する数学者』

読了。なんだかよくわからない。読むのに苦労した。裏表紙の「書誌学と数学を大胆に駆使し、濃密なエロティシズムで包み込んだペダンティックな快作」に騙された感じ。原題は、"The 351 Books of Irma Arcuri"なので、邦訳のタイトルにも騙されているかもしれない。考えてみると「ペダンティック」ってよくわからない。
「数学を大胆に駆使し」とあるので、フェルマの大定理やポアンカレ予想を解くぐらいの天才数学者が活躍するのかと期待していたが、どういう『数学者』なのかよくわからない。数学は主人公の第一言語で、数学で考えたことを英語に翻訳して周囲の人間と意思の疎通を図るような記述があるけど、晩ご飯をどうするかをどうやって数学で考えるのかな。数学が第一言語の人間がいたら面白いだろうというそのアイデアをそれ以上に掘り下げていない。多分この作者は、ラマヌジャンも知らないだろう。
贈られた本の中から最初の1冊を選ぶのに、「3・4・7サンプリング法」というのを使っているけど、なんだこりゃ?ピタゴラス学派か?何箇所かで三角測量で人や物の位置を特定していたみたいだけど、レイラインのようなものか?
デジタル大辞泉によれば、

ペダンチック 【pedantic】[形動]学問や知識をひけらかすさま。衒学(げんがく)的。「―な論文」

だそうだが、少なくとも数学の知識はひけらかされていないと思う。
フェルマの大定理とかポアンカレ予想ラマヌジャンなんて単語を書き連ねることって、「ペダンティック」?